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2019 12 12

加齢と「収集」の物理学 Physics on Aging and "Gathering"


齢をとるとは,どういうことか.髪が抜け落ち,腰が曲がり,がんを患い,ものを忘れる.ゆっくり進む老化.では,なぜこうした変化が起こるか.端的に言えば,齢を重ねると,重くなるからだ.毛根は重力に逆らわず,上体は地球に負け,防癌機能を超えて複製し,神経の興奮が薄らぐ.いくら体重を痩身にしてごまかしても,加齢により重くなる.

星は,生まれたての青い時期から,円熟した赤い巨星になるまで,大きくなり,中性子星や白色矮星,ブラックホールに至るまで,密度を増す.この過程において,一貫して増大する量が,重さである.人も同じだ.星に比べれば,ほんの少しの変化かもしれない.けれども,時間が経つほど重くなる.では,なぜ重くなるか.集めるからだ.集めるほど重くなり,ますます集まる.

この式を見たい.重さgは,生涯時間Tに比例し,生涯時間は,緩度πの2乗に比例する.生涯時間とは,生涯の歩みにかかった時間.光だと,1/T光年進むのにかかった時間をTという.緩度とは,生涯時間の長さをどれほどの時間をかけて進むか,という量で,ゆっくりであるほど大きい.つまり,重くなるほど,生きる時間の密度が濃くなり,生涯時間が充分濃くなっていれば,軽くするだけで,ゆっくりとしたゆとりのある暮らしにすぐに変わる.

重さとは,物事を引き付ける力と考えてよいだろう.そして,重いところは物珍しいものだ.多くを集める物事は,物珍しい物事である.若い時代に苦労して物珍しい価値を考え抜いた人が,歳を取ってから真にゆとりのある暮らしができるのは,その物珍しい価値に多くの物事が集まり,その人が多くを集めたことで重くなり,ある時期から,教える,捨てる,施す,売り払う人生を選んで軽くなったことによる.

集まる人は,与える人だ.求めれば,与えられ,富む者はますます富むが,富を与えず蓄えてきた者が天国に入ることは,ラクダが針の穴を通るより難しい.教える,捨てる,施す,売り払う…イエスさまのご生涯.人生の終わりに天に召されるとの確信を得るため,老後までの暮らしを立て上げるときに思い出したい式である.